食べもの

犬にブロッコリーを与えるとき|安全な量と、避けたい食べさせ方

出典あり

小房に切り分けられ、氷の上に並べられたブロッコリー
Photo: Jeffery Martin(CC0, Wikimedia Commons)

ゆでたブロッコリーを一房。食卓の下で待っている愛犬に、つい落としたくなります。野菜だから大丈夫だろう、と。

ブロッコリーは、犬が食べてよい野菜です。 アメリカンケネルクラブ(AKC)は、味付けや油を加えていなければ、生でも加熱でも食べられるとしています。ただし同じ資料が、**「1日の摂取量の10%未満なら安全。25%を超えると中毒性がある」**と量の線を引いています。

そして日本の食卓で本当に危ないのは、ブロッコリー自体ではありません。シチューや炒め物に入った状態です。そこにはたいてい玉ねぎが入っています。

ブロッコリーの3つの条件。1日の1割まで、一口大に切る、味付けをしない。料理に入ったものは与えない

この記事で学べること

  • ブロッコリーは犬に安全か。量の線はどこか
  • 房に含まれる成分と、量が増えたときに起こること
  • 茎で起こる食道閉塞と、小型犬で気をつけること
  • 「1日の1割まで」の数え方
  • 日本の食卓でいちばん多い失敗(料理に入ったものを与える)
  • 初めて与える日の手順

今日やることは1つ。 与えるなら、味付け前に取り分けてください。鍋に入れる前の状態が、いちばん安全です。

記事執筆における出典

野菜の話は「体にいい」という言葉だけが独り歩きします。何をもとに書いたかを先に示します。

  • 安全性と量の線 ── AKCの記事「Can Dogs Eat Broccoli?」。同会の主任獣医師の見解として、10%未満なら安全、25%超は中毒性があるとしています
  • 房の成分 ── 同記事。房にはイソチオシアネートが含まれ、犬によっては軽度から重度の胃の刺激を起こしうる
  • 茎の危険 ── 同記事。茎は食道閉塞を起こすことがあり、特に小型犬では一口大に切る必要がある
  • おやつの上限の考え方 ── 世界小動物獣医師会(WSAVA)の「犬のおやつガイド」。おやつは1日のカロリーの10%未満とし、食事の代わりにはならない
  • 与えてはいけない食材 ── 同ガイドとASPCA動物中毒管理センター。玉ねぎ・ねぎ・にんにく、ぶどう、チョコレート、キシリトールなど
  • 暮らしへの落とし込み ── 上記をもとに、BAUDOGが構成しました

BAUDOGは診断をしません。 体調を崩したときは動物病院へ相談してください。

数字で見るブロッコリー

出典の記載
安全な量1日の摂取量の10%未満(AKC)
危険とされる量25%を超えると中毒性がある(AKC)
房の成分イソチオシアネートを含み、軽度から重度の胃の刺激を起こしうる(AKC)
茎食道閉塞を起こすことがある。特に小型犬(AKC)
栄養食物繊維とビタミンCが多く、脂肪が少ない(AKC)
おやつ全体1日のカロリーの10%未満。おやつは食事の代わりにならない(WSAVA)

10%は、ブロッコリーだけの枠ではありません。 ジャーキーもさつまいもも、この10%を分け合います。野菜を足したぶん、おやつを減らすのが筋です。

1. 量 ── 「1日の1割まで」の数え方

10%と言われても、グラムでは分かりません。皿で考えると早いです。

  1. 1日に与えているフードの量(グラムまたはカップ)を確認する
  2. その1割を思い浮かべる。10分の1の山です
  3. その枠に、おやつも野菜も全部入れる

体の小さい犬ほど、枠は小さくなります。5kgの犬の1割は、ブロッコリーなら小房1つか2つです。20kgの犬でも、片手に乗る程度で十分です。

「野菜だから」と別枠にしないでください。 WSAVAは、おやつが多いと主食の栄養バランスが崩れ、体重が増えると書いています。バランスの取れた食事が9割以上、という考え方です。

1日の1割の数え方。フードの量を確認し、その10分の1の枠に、おやつも野菜も全部入れる

2. 房と茎 ── 起こることが違う

同じブロッコリーでも、部位で気をつけることが変わります。

気をつけること出る症状
房(つぼみ)イソチオシアネートを含む。量が増えると胃を刺激する吐く、よだれ、お腹を痛がる、下痢
茎硬く、丸のみされやすい。食道に詰まることがあるえずく、よだれ、飲み込めない、苦しそうにする

茎のほうが、事故としては急ぎます。 AKCは食道閉塞を挙げ、特に小型犬では一口大に切るよう書いています。皮の外側は繊維が硬いので、切る前に厚めにむくと安全側です。

切り方の基準はこうです。

  • 房は、指先でつまめる大きさに分ける
  • 茎は、薄い輪切りにしてから、さらに小さく切る
  • 小型犬は、房もさらに半分に切る
  • 丸のみする癖のある犬は、ゆでてつぶす

飲み込んだあとに苦しそうなら、様子を見ずに病院へ連絡してください。拾い食いの癖がある犬は、落とした一房をそのまま飲み込みます(拾い食いをやめさせる)。

房と茎で起こることが違う。房は胃の刺激、茎は食道に詰まる。房は指先でつまめる大きさ、茎は薄い輪切りにしてから小さく

3. 日本の食卓で、いちばん多い失敗

ブロッコリー単体より危ないのが、料理に入った状態です。

  • シチュー、グラタン、スープ ── 玉ねぎが入っていることがほとんどです
  • 炒め物 ── にんにく、油、塩、こしょう
  • サラダ ── マヨネーズ、ドレッシング。脂肪と塩分が高い
  • 和え物 ── めんつゆ、しょうゆ

玉ねぎ・ねぎ・にんにくの類は、WSAVAもASPCAも与えてはいけない食材として挙げています。「ブロッコリーだけよけて取り出したから大丈夫」ではありません。 煮汁が染みています。

AKCは、味付けや油を加えていなければ生でも加熱でも食べられるとしています。裏を返せば、味付けをした時点で、それは犬の食べ物ではありません。

与えるなら、鍋に入れる前に取り分ける。 これが唯一の安全な手順です。危ない食材の全体像は犬に危険な食べ物にまとめています。

与えてよい形と、与えてはいけない形。味付け前に取り分けたものだけ。シチュー、炒め物、マヨネーズ和えは与えない

実践:初めて与える日の手順

新しい食材は、少量から始めます。体に合うかどうかは、量ではなく反応で判断します。

段階やること
準備味付け前に取り分ける。よく洗う。一口大に切る(茎は薄く)
1回目ごく少量(小型犬は小房の半分、大型犬でも小房1つ)だけ与える
そのあと半日から1日、便と吐き気を見る。いつもと変わらなければ問題なし
2回目以降1日の1割の枠の中で。毎日でなくてよい
続けるなら与えた日を記録する。体重を月1回計る

与える行為そのものを練習にできます。 落ちている物を拾わせず、まて(リーブイット)で待たせてからマーカーで合図し、手から渡す。同じ一房でも、拾い食いの練習になるか、待つ練習になるかが変わります。

初めて与える日の手順。味付け前に取り分ける、洗う、小さく切る、少量だけ、半日から1日は便と吐き気を見る

うまくいかないとき

食べたあとに吐いた ── 量が多かったか、房の成分が合わなかった可能性があります。次はやめてください。繰り返すなら受診を。

下痢をした ── 食物繊維が多い野菜です。量を減らすか、与えないという判断で構いません。

丸のみしてしまう ── 切り方の問題です。つぶすか、与えないほうが安全です。

ほしがって吠える ── 食卓の下で待たせない習慣に戻します。ステーションで、食事中の居場所を決めてください。

たくさん食べてしまった ── AKCは25%を超えると中毒性があるとしています。量が多いと思ったら、時間を置かずに病院へ連絡してください。

相談を考える目安

  • 飲み込んだあと、えずく、よだれが増える、苦しそうにする ── すぐ
  • 吐く、下痢が続く、お腹を痛がる ── その日のうちに
  • 大量に食べてしまった、料理ごと食べてしまった(玉ねぎの可能性) ── すぐ連絡
  • ぐったりする、歯ぐきの色が悪い

「野菜だから様子を見る」はしないでください。 詰まりと玉ねぎは、時間が効きます。

最後に

ブロッコリーは、犬が食べてよい野菜です。線は3つ。1日の1割まで。一口大に切る。味付け前に取り分ける。

今日ゆでるなら、鍋に入れる前に一房だけよけてください。それをまての練習に使えば、食べ物が練習の道具にもなります。

ほかの食材が気になったら、犬に危険な食べ物と犬にブルーベリーを与えるときも合わせて読んでください。

出典