チワワの飼い方|性格・暮らし・気をつけること
チワワは「気が強い」「よく吠える」「よく噛む」と言われます。小さいのに強気、というイメージで語られることが多い犬種です。
でも、そう言われる行動のほとんどは、強気ではなく怖さから出ています。
体重2kgの犬にとって、成人の手はかなり大きな影です。その手が上から急に下りてくる。しかも相手は、犬が出している「やめて」のサインに気づかないことが多い。小さいからです。
そして気づかれないまま進むと、最後に噛みます。すると「チワワは噛む犬」と言われる。順番が逆です。

この記事で学べること
- チワワの大きさ・体重・寿命が、公的な犬種情報でどう書かれているか
- 噛むまでに出ている4つのサインと、どこで止められるか
- 唸りを叱ってはいけない理由
- 小さい体で気をつけたい部位と、受診を考える目安
- 迎えてから最初にやること
今日やることは1つ。 愛犬を抱き上げる前に、1秒だけ様子を見てください。体がこわばっていないか。それだけで、噛まれる場面はかなり減ります。
記事執筆における出典
この犬種は「性格」として語られることが多いぶん、書き手によって内容が割れます。もとにした資料を先に示します。
- 大きさ・体重・寿命 ── アメリカンケネルクラブ(AKC)の犬種情報
- 警告サインと、罰を使わない方針 ── 米国獣医行動学会(AVSAB)の声明。罰を用いる手法が恐怖と不安を生み、かえって攻撃性を引き出しうるとしています
- 膝のトラブル ── アメリカ獣医外科学会(ACVS)および OFA の資料
- 気管のトラブル ── アメリカ獣医外科学会(ACVS)の患者向け資料
- 暮らしの組み立てと手順 ── 上記の資料をもとに、BAUDOGが構成しました
診断や治療には踏み込みません。 どうなったら病院か、までを書きます。
数字で見るチワワ
| AKCの記載 | |
|---|---|
| 体高 | 5〜8インチ(約13〜20cm) |
| 体重 | 6ポンドを超えない(約2.7kg以下) |
| 寿命 | 14〜16年 |
| 犬種人気 | 210犬種中27位(米国) |
寿命14〜16年は、犬全体のなかでかなり長いほうです。 迎えるということは、15年先の暮らしまで一緒に考えるということになります。
小ささが、そのまま暮らしの条件になる
体重2〜3kgという数字は、次のことを意味します。
- 人の足元が危険な場所になる。 踏む、蹴る、ドアに挟むという事故が現実的に起きます
- ソファからの飛び降りが怪我になる。 人にとっての40cmは、この体格には大きな段差です
- 寒さがこたえる。 体が小さいほど熱を失いやすくなります
- 上から来る手が怖い。 人は親しみで手を伸ばしますが、犬から見れば影が覆いかぶさってきます
最後のひとつが、性格として語られてしまうところの正体です。
噛むまでに、かならず前の段がある
犬は、いきなり噛みません。噛む前に必ず「やめて」を出しています。
- 固まる ── 動きが止まり、体がこわばる
- 顔をそらす ── 白目が見える。口をペロッとなめる
- 唸る ── 低く短い声
- 噛む
チワワで問題になりやすいのは、1と2が見えにくいことです。体が小さく、抱き上げられていることが多いので、こわばりも視線の動きも人の目に入りません。
だから人からは「急に噛んだ」ように見えます。犬からすれば、3回言ってから噛んでいます。
唸りを叱ってはいけない
ここがいちばん大事なところです。
唸ったときに叱ると、犬は唸ることをやめます。 噛みたい気持ちがなくなったのではありません。警告を出すのをやめただけです。
結果どうなるか。サインが1つ減り、固まる → そらす → いきなり噛む、になります。唸りは、飼い主を守っている合図です。 消してはいけません。
唸られたら、まず距離をとってください。そのうえで、何が嫌だったのかを考えます。
Photo: Zarate123(CC BY-SA 4.0, Wikimedia Commons)
実践:最初に整えること
| やること | なぜ |
|---|---|
| 抱き上げる前に1秒見る | こわばっていたら、その場では抱かない |
| 顔の正面から手を出さない | 横から、下から、ゆっくり |
| ソファにスロープか階段を置く | 飛び降りが膝と背骨に効く |
| 犬が自分で入れる逃げ場を作る | 逃げられる犬は噛まずに済む |
| 床にマットを敷く | 滑る床は膝の負担になる |
| 家族全員で同じ扱いにする | 一人でも急に抱き上げると、その経験が残る |
逃げ場を用意するのが、いちばん効きます。 逃げられない状況で追い詰められたとき、犬に残る手段が噛むことだけになります。
マーカー(Yes)の充電と名前への反応を早めに入れておくと、「来てほしい」を力ではなく合図で伝えられるようになります。抱き上げて移動させる回数が減るぶん、衝突も減ります。
Image: AI生成(BAUDOG)
気をつけたい体の部位
膝(膝蓋骨脱臼)
小型犬に多い整形外科の問題として、ACVSとOFAが解説しています。歩いている途中で片方の後ろ足を数歩だけ上げる、スキップのような歩き方をする、といった様子が家庭で気づけるサインです。
気管(気管虚脱)
ACVSは、小型犬に多く見られる気管の問題として解説しています。ガーガーという音の混じった咳が特徴として挙げられます。
首輪を引く歩き方は気管に直接の力がかかります。胴輪(ハーネス)に替えるのは、この犬種では理にかなった選択です。
寒さと体温
体が小さいほど、外気の影響を受けます。冬の散歩で震えているなら、我慢させる場面ではありません。
Photo: Hammytheperfect(CC BY 4.0, Wikimedia Commons)
うまくいかないとき
来客のたびに吠える ── 怖さか、興奮か、警戒かで対処が変わります。見分け方は来客・インターホンに吠えるにまとめています。
抱っこを嫌がるようになった ── どこかが痛い可能性があります。急に変わったなら動物病院へ。
家族の特定の人にだけ唸る ── その人の接し方に、犬が嫌がる何かがあります。叱るのではなく、接し方を変えてください。おやつを渡す係になってもらうのが手っ取り早いです。
咳が出る ── 様子を見ずに受診してください。気管の問題は進むことがあります。
相談を考える目安
- ガーガーという音の混じった咳が出る
- 後ろ足を数歩上げる、スキップのような歩き方をする
- 頭を触られるのを急に嫌がるようになった
- ふらつく、けいれんする
- 子犬で、ぐったりして動かない(低血糖のおそれがあります。小さい子犬は空腹に弱いです)
これらはしつけの問題ではありません。動物病院で相談してください。
最後に
チワワが「気が強い」と言われるのは、小さいからこそ、怖いと感じる場面が多いからだと考えると、ほとんどの行動が説明できます。
そして、怖さから出ている行動は、怖くなくすれば減ります。叱って止めるものではありません。
逃げ場を作って、抱き上げる前に1秒見る。この2つだけで、暮らしはかなり変わります。
犬が出しているサインの読み方全般は犬のボディランゲージにまとめています。