マルチーズの飼い方|性格・暮らし・気をつけること
マルチーズを迎えた人が最初に気づくのは、思っていたより手入れがいることです。白いから汚れが目立つ。目のまわりが変色する。口のまわりが濡れて赤くなる。
そして次に気づくのが、ひとりでいるのが苦手なこと。AKCはマルチーズを、古くから人の膝の上で暮らしてきた伴侶犬と記述しています。人のそばにいることが、この犬種の「仕事」です。
どちらも「そういう犬種」と知っていれば、驚きではなく準備の話になります。

この記事で学べること
- マルチーズの大きさ・体重・寿命が、公的な犬種情報でどう書かれているか
- 白い被毛を保つ毎日の1分と、やってはいけないこと
- 「ひとりが苦手」を、留守番できないに育てないための順番
- 小さい体で気をつけたい膝と気管、受診を考える目安
- 迎える前と、最初の3か月でやること
今日やることは1つ。 朝、ぬるま湯で湿らせた布で目のまわりを拭いてください。ためてからでは落ちにくくなります。
記事執筆における出典
マルチーズは「かわいい」「飼いやすい」で語られがちで、毎日の手入れと性格の実際が抜けやすい犬種です。もとにした資料を先に示します。
- 大きさ・体重・寿命・気質・来歴 ── アメリカンケネルクラブ(AKC)の犬種情報
- 膝のトラブル ── アメリカ獣医外科学会(ACVS)「Patellar Luxations」
- 気管のトラブル ── アメリカ獣医外科学会(ACVS)「Tracheal Collapse」
- しつけと分離不安の考え方 ── 米国獣医行動学会(AVSAB)の声明。罰を用いる手法を推奨していません
- 暮らしの組み立てと手順 ── 上記の資料をもとに、BAUDOGが構成しました
診断や治療には踏み込みません。 どうなったら病院か、までを書きます。
数字で見るマルチーズ
| AKCの記載 | |
|---|---|
| 体高 | 7〜9インチ(約18〜23cm) |
| 体重 | 7ポンド以下(約3.2kg以下) |
| 寿命 | 12〜15年 |
| 犬種人気 | 210犬種中37位(米国) |
体重3kg以下。人の足元が危険な場所になり、上から来る手が怖いという点は、チワワと同じです。
1. 白い被毛は「毎日の1分」で決まる
マルチーズの被毛は、抜けにくい代わりに伸び続けます。そして白いので、汚れがそのまま見えます。
毎日
- 目のまわりを拭く。 涙で毛が茶色く変色します(涙やけ)。朝1回、ぬるま湯で湿らせた布で。ためると色が定着して落ちにくくなります
- 口のまわりを拭く。 食後に湿らせた布で拭き、乾かす。濡れたままだと皮膚が赤くなります
週2〜3回
- ブラッシング。 毛玉は見えない場所にできます。脇の下、耳の後ろ、内股。この3か所を必ず。毛玉が皮膚を引っぱると痛みになり、ブラシを嫌がる犬になります
月1回前後
- トリミング。 伸び続ける被毛なので、切らないという選択肢はありません。短くしても、目と口のまわりの手入れは変わりません
やってはいけないこと ── 涙やけを「ゴシゴシこする」こと。皮膚が荒れて、かえって涙が増えます。目やにや涙が急に増えたなら、手入れの問題ではなく受診の話です。
Image: AI生成(BAUDOG)
2. 「ひとりが苦手」を、留守番できないに育てない
人のそばで暮らすために作られた犬種です。ひとりでいることが、他の犬種より負担になりやすい傾向があります。
ここで大事なのは、抱っこで解決しないことです。不安なときに抱き上げると、「不安になれば抱いてもらえる」と学習します。迎えた日から少しずつ、ひとりでいても大丈夫を積みます。
- クレートでごはんを食べさせる。扉を開けたまま、自分から入る場所にする
- 同じ部屋で、別のことをする時間を作る。ずっと構い続けない
- 数秒だけ部屋を出て戻る。泣く前に戻る。これを少しずつ伸ばす
留守番の練習は犬が留守番できない時の練習法に。迎えた最初の1か月で、ここに手をつけるかどうかで、その後の10年が変わります。
Illustration: BAUDOG(生成画像)
3. 小さい体で気をつけたいところ
膝(膝蓋骨脱臼) ── ACVSは、小型犬に多い整形外科の問題として解説しています。片方の後ろ足を数歩だけ上げる、スキップのような歩き方が家庭で気づけるサインです。滑る床にはマット、ソファには階段を。
気管(気管虚脱) ── ACVSは、小型犬に多い気管の問題として解説しています。ガーガーという音の混じった咳が特徴的なサインです。首輪ではなくハーネスを。
低血糖(子犬) ── 体が小さい子犬は空腹に弱く、ぐったりする、震えるといった様子が出ることがあります。迎えたばかりの時期は食事の間隔を空けすぎないこと。
寒さ ── 単層の被毛で、寒さに弱い犬種です。冬の散歩で震えるなら、我慢させる場面ではありません。
Photo: Alfredo Borba(CC BY-SA 4.0, Wikimedia Commons)
実践:迎える前と、最初の3か月
| 時期 | やること | なぜ |
|---|---|---|
| 迎える前 | ハーネス、床のマット、ソファの階段 | 気管と膝は、迎える前に環境で守る |
| 1〜2週目 | 静かに眠らせる。新しいことは1日1つ。目と口を毎日拭く | 手入れは「毎日やること」として最初から |
| 2〜4週目 | クレートでごはん。数秒の「いない時間」を作る | ひとりでいても大丈夫、の土台 |
| 1か月目 | マーカーを入れる。足先・耳・口を1日10秒触る | 一生続くトリミングと手入れの下地 |
| 2か月目 | トリミングサロンに短時間で慣らす | 最初の1回を怖い記憶にしない |
| 3か月目 | 落ち着いて待つを練習 | 興奮しやすい犬種なので、自分で降りてこられるように |
Photo: Toby Weisenhaus(CC BY 2.5, Wikimedia Commons)
うまくいかないとき
涙やけが落ちない ── ためてしまった色は、拭いても落ちません。伸びた毛が生え替わるのを待ちつつ、これから出る分を毎朝拭きます。急に増えたなら受診を。
口のまわりが赤い ── 濡れたままになっています。拭いたあと乾かす、を徹底してください。それでも赤いなら皮膚の問題の可能性があります。
ブラッシングを嫌がる ── 毛玉が引っぱって痛い経験があります。毛玉はブラシでほどこうとせず、トリマーに相談を。そのうえで、今日は背中だけ、10秒で終わり、から積み直します。
家を出ようとすると鳴く ── 「出る=置いていかれる」になっています。出かける準備(鍵を持つ、靴を履く)だけして出かけない、を何度もやって、準備と不安を切り離します。
相談を考える目安
- 目やに・涙が急に増えた、目をしょぼしょぼさせる
- ガーガーという音の混じった咳が出る
- 後ろ足を数歩上げる、スキップのような歩き方をする
- 口のまわりや皮膚が赤い、においがする
- 子犬で、ぐったりして動かない、震える
動物病院で相談してください。
最後に
マルチーズは、人のそばにいることが仕事の犬です。だからこそ、毎日の手入れの1分と、ひとりでいる練習の数秒を、迎えた日から始めてください。
この2つが習慣になれば、あとは真っ白でやわらかい、この犬種の魅力しか残りません。