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犬の涙やけ|考えられる原因と、病院へ行く目安

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目の下がうっすら赤茶色に染まった、白いマルチーズの子犬の顔
Photo: yasmapaz(CC BY-SA 2.0, Wikimedia Commons)

白い犬の目の下が、いつの間にか赤茶色になっている。拭いても拭いても、数日でまた染まる。市販の「涙やけ用」の商品を試したけれど、変わらない。

涙やけは、それ自体が病気の名前ではありません。VCA動物病院の資料は、涙があふれる状態(エピフォラ)を**「病気そのものではなく、症状」**と説明しています。目の下が染まるのは、あふれた涙が毛を濡らし続けている結果です。

だから、染みを落とすことより先に、なぜ涙があふれているのかを考える必要があります。原因は大きく2つに分かれます。涙が増えているか、涙が流れていないか。

涙やけの原因は二つに分かれる。左:涙が増えている(目の刺激、まつ毛、アレルギー)。右:涙が流れない(鼻涙管のつまり、顔の形、目のまわりの毛)。矢印の先に「あふれる」

この記事で学べること

  • 涙やけとは何か。なぜ赤茶色になるのか
  • 「涙が増えている」原因と、「涙が流れていない」原因
  • 家でできる手入れ。やってはいけないこと
  • 病院で何を調べるのか
  • 受診すべき状態の見分け方

今日やることは1つ。 明るい場所で、愛犬の目を正面から見てください。左右で涙の量が違うか、白目が赤いか、目を細めていないか。この3つを見るだけで、急ぐかどうかが分かります。

記事執筆における出典

涙やけは、原因を分けずに「拭き方」や「フード」の話になりがちです。何をもとに書いているかを先に示します。

  • 涙があふれる仕組み、原因の分類、検査、家での手入れ ── VCA動物病院の飼い主向け資料「Epiphora in Dogs」
  • 涙の通り道(鼻涙管)の病気、ドライアイ ── メルク獣医マニュアル(Merck Veterinary Manual)飼い主向け「犬の鼻腔と涙管の病気」
  • まぶた・まつ毛の異常 ── 同「犬のまぶたの病気」
  • 原因の整理と手順 ── 上記の資料をもとに、BAUDOGが構成しました

診断や治療には踏み込みません。 目薬や飲み薬の判断は動物病院の仕事です。どうなったら病院か、までを書きます。

涙やけとは何か

涙は本来、目の内側の角にある小さな穴から鼻涙管という管を通って、鼻やのどへ流れていきます。VCAの資料はこの仕組みを前提に、涙があふれる状態を「エピフォラ(涙の過剰な流出)」と呼んでいます。

あふれた涙は目の下の毛を濡らし続けます。濡れた毛は乾きにくく、そこが赤茶色に染まる。これが涙やけです。白や薄い色の犬で目立ちますが、濃い色の犬でも起きています。 見えにくいだけです。

同じ資料は、涙やけの状態で皮膚が赤くなる、においがする、分泌物が出るなら、皮膚の二次的な感染を疑うべきだと書いています。

涙は目の内側の角から鼻涙管を通って鼻へ流れる。流れきらない分があふれて、目の下の毛を染める Illustration: BAUDOG(生成画像)

原因1:涙が増えている

目に刺激があると、涙は増えます。VCAの資料が挙げている原因を、家で気づきやすい順に並べます。

  • 結膜炎(ウイルスや細菌によるもの)── 白目が赤い、目やにが増える
  • アレルギー ── 季節や環境で涙の量が変わる
  • まつ毛の異常 ── 内側に生えたまつ毛が目の表面をこする。メルク獣医マニュアルは、まつ毛の異常が「涙目、角膜の血管の増生、治りにくい角膜の傷」を起こしうると書いています
  • 目の傷、角膜の潰瘍 ── 急に片目だけ涙が増え、目を細める
  • 緑内障 ── 痛みを伴う。急ぎます

片目だけ、急に、目を細める。 この組み合わせは「涙が増えている」側で、しかも急ぐサインです。

涙が増える原因。結膜炎、アレルギー、まつ毛、目の傷、緑内障。片目だけ急に目を細めるなら、その日のうちに受診 Illustration: BAUDOG(生成画像)

原因2:涙が流れていない

涙の量は普通でも、出口がふさがれば、あふれます。VCAの資料が挙げる原因です。

  • 鼻涙管のつまり ── 炎症や、細かいごみ、異物で管がふさがる。メルク獣医マニュアルは、涙のう(涙の袋)の炎症で「涙目」や「治療に反応しない結膜炎」が起きると書いています
  • まぶたの巻き込み・めくれ(内反・外反)── まぶたの位置がずれ、涙が出口に届かない
  • 顔の形 ── VCAの資料は、鼻の短い犬種(短頭種)では「涙の膜がうまく排出されない」と書いています
  • 目のまわりの毛 ── 毛が「鼻涙管の入口を物理的にふさぐ」(同資料)

トイプードル、マルチーズ、シーズー、チワワなど、日本で人気の小型犬に涙やけが多いのは、顔の形と目のまわりの毛という2つの条件が重なりやすいからです。

目のまわりに長い毛がかかり、目の下が染まりはじめた白いマルチーズの子犬。毛が涙の出口をふさぐ例 Photo: kitty.green66(CC BY-SA 2.0, Wikimedia Commons)

病院では何を調べるか

VCAの資料は、目に色素をたらして、数分以内に鼻へ流れてくるかを見る検査(フルオレセイン染色)を説明しています。流れてこなければ、管がつまっている可能性があり、さらに調べることになります。つまりの治療は、麻酔をかけて管を洗い流す処置になる、とも書かれています。

家でできること

VCAの資料が家での対処として挙げているのは、次の3つです。

  1. 目のまわりを清潔に、乾いた状態に保つ。 濡れたままにしない
  2. 固まった分泌物を取り除く。 ぬるま湯で湿らせたガーゼやコットンで、内側から外側へ
  3. 目のまわりの毛を短く整える。 毛が涙の出口をふさがないように

目のまわりの毛を短く整え、頭の毛をリボンでまとめたマルチーズ。目に毛がかからない状態の例 Photo: Alfredo Borba(CC BY-SA 4.0, Wikimedia Commons)

やってはいけないこと

  • 過酸化水素(オキシドール)を含む製品を目の近くで使わない。 VCAの資料は、目に入ると「重い損傷」を起こしうると明記しています
  • 染みを落とす商品を、獣医師に相談せずに使わない。 同資料は、どんな製品でも使う前に獣医師に相談するよう勧めています
  • 原因を確かめずにフードを変え続けない。 涙が流れない側の原因には、食事は関係しません

手入れを成り立たせる練習

目のまわりを毎日拭く、毛を切る──どちらも、顔を触られることに慣れている必要があります。嫌がる犬に無理をすると、拭くこと自体が嫌なことになります。

あご乗せができると、顔の手入れが一気に楽になります。手のひらにあごを乗せて静止する練習で、目のまわりに触れる時間を作れます。進め方は触られる練習にまとめています。

うまくいかないとき

拭いても数日で染まる ── 拭く頻度の問題ではなく、涙があふれ続けています。原因1か原因2かを、動物病院で確かめてください。

片目だけひどい ── 左右差は「その目に何かある」サインです。傷、まつ毛、管のつまり。受診を。

目のまわりの皮膚が赤い、におう ── 皮膚の二次感染の可能性。VCAの資料が受診を勧めている状態です。

顔を触らせてくれない ── 手入れ以前の問題です。触られる練習を1日10秒から。手入れは、練習が進んでからで間に合います。

相談を考える目安

  • 片目だけ急に涙が増えた、目を細める、まぶしがる(その日のうちに)
  • 白目が赤い、目やにが黄色や緑
  • 目のまわりの皮膚が赤い、におう、ただれている
  • 拭いても数日で染まる状態が続いている
  • 涙が「ねばい」「濁っている」── メルク獣医マニュアルは、ドライアイで「粘り気のある目やにが続き、目が赤くなる」と書いています。涙が多いように見えて、実は足りない場合もあります

動物病院で相談してください。 目の症状は、見た目が軽くても中身が急ぐことがあります。

最後に

涙やけは「染み」ではなく、涙があふれているというサインです。増えているのか、流れていないのか。それを分けて考えるだけで、やることが変わります。

今日は、明るい場所で愛犬の目を正面から見てください。左右差、白目の赤み、目を細めていないか。それが、急ぐかどうかの最初の目安です。

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