柴犬

豆柴の飼い方|「豆柴」の正体と、迎える前に確かめること

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舌を出してこちらに歩いてくる、生後7か月の赤毛の柴犬
Photo: Shibabcn(Public domain, Wikimedia Commons)

「豆柴として迎えたのに、普通の柴犬の大きさになった」。豆柴でいちばん多い相談は、しつけでも病気でもなく、これです。

先に答えを書きます。「豆柴」は犬種の名前ではありません。 ジャパンケネルクラブ(JKC)は豆柴を犬種として認めておらず、血統証明書には「柴」と書かれます。豆柴を犬種として認定しているのは日本社会福祉愛犬協会(KCJ)で、しかも認定は生後1年を過ぎてから体高を測って決まります。 つまり、子犬の時点で「この子は豆柴です」と確定させる仕組みは、どの団体にもありません。

これを知っているだけで、迎える前の見方が変わります。この記事は、豆柴という言葉の正体と、迎える前に確かめること、そして迎えたあとの暮らしを、団体の一次情報にもとづいて整理します。

「豆柴」は団体で扱いが違う。JKCは犬種と認めず血統書は「柴」。KCJは犬種として公認し、生後1年後の体高審査で認定。子犬の時点で確定させる仕組みはない

この記事で学べること

  • 「豆柴」という言葉を、JKCとKCJがそれぞれどう扱っているか
  • 豆柴の体高・体重の基準と、柴犬との数字の違い
  • 子犬のときに小さくても、そのまま小さいとは限らない理由
  • 迎える前にブリーダーに確かめる4つのこと
  • 迎えたあとの暮らしと、気をつけたい体のこと

今日やることは1つ。 すでに迎えているなら、血統証明書の犬種名の欄を見てください。「柴」なら、それは団体の扱いとしては柴犬です。これから迎えるなら、親犬の体高を実測値で聞いてください。

記事執筆における出典

豆柴は、販売する側と登録する側で言うことが食い違いやすい言葉です。何をもとに書いたかを先に示します。

  • 豆柴の扱い(公認していない側) ── ジャパンケネルクラブ(JKC)の公式見解「ティーカッププードル、豆柴について」
  • 豆柴の扱い(公認している側) ── 日本社会福祉愛犬協会(KCJ)の「豆柴紹介」と「豆柴の登録ガイド」。体高基準・認定制度・遺伝子検査の要件はここから
  • 柴犬としての大きさ・気質・来歴 ── アメリカンケネルクラブ(AKC)の犬種情報
  • しつけの方針 ── 米国獣医行動学会(AVSAB)の声明。罰を用いる手法を推奨していません
  • 暮らしの組み立てと手順 ── 上記の資料と、柴犬の飼い方をもとに、BAUDOGが構成しました

小さく作る繁殖が体にどう影響するかについて、獣医師会や学術の一次情報は見つかりませんでした。 JKCが「健全性に欠ける場合がある」と述べている範囲でのみ触れ、それ以上は書きません。診断や治療にも踏み込みません。

数字で見る豆柴と柴犬

KCJの豆柴基準AKCの柴犬
体高(オス)30〜34cm14.5〜16.5インチ(約37〜42cm)
体高(メス)28〜32cm13.5〜15.5インチ(約34〜39cm)
体重基準なし(体高で判定)オス約10kg/メス約7.7kg
認定の時期生後1年経過後に実測──

KCJの基準では、豆柴は柴犬より体高で7〜8cmほど低い犬です。体重は団体の基準にはありません。「4〜6kg」といった数字を見かけますが、それは販売側の目安であって、認定の条件ではないことを覚えておいてください。

「豆柴」は何者か ── 団体で扱いが違う

JKCの立場

JKCは、「ティーカッププードル」「豆柴」は正式な犬種名ではなく販売上の商品名だと明記しています。そう呼ばれて売られた子犬でも、両親が同じ犬種なら血統証明書は出ますが、犬種名の欄は「柴」です。

さらにJKCは、犬種標準の体高を大きく下回る個体について「犬としての健全性に欠ける場合がある」として、極端に小さくする繁殖を勧めていません。純粋犬種を健全に育てる団体としての立場です。

KCJの立場

KCJは2008年に豆柴を犬種として公認しています。起源は1950年ごろに京都の愛好家が始めた繁殖とされ、半世紀を超える歴史があるという説明です。

ここで大事なのは認定の仕組みです。KCJは、生後12か月を過ぎたすべての犬を審査する「豆柴認定制度」で繁殖を管理しています。審査では、純血の健全な柴犬であることと、体高がオス34cm以下・メス32cm以下であることを実測して合否を決めます。合格しても、「柴犬」から「豆柴」への犬種変更の申請が別に要ります。登録にはマイクロチップの装着証明と、両親犬のGM1ガングリオシドーシスの遺伝子検査が必須です。

つまり、どちらの団体でも「子犬のうちに豆柴と確定する」ことはできません。 JKCでは最初から柴。KCJでも、認定は1歳を過ぎてからです。

KCJで豆柴になるまでの手順。生後12か月を過ぎて体高を実測する認定審査、合格後の犬種変更の申請、マイクロチップの装着証明、両親犬のGM1遺伝子検査

子犬のときに小さくても、そのまま小さいとは限らない

迎える時期は、たいてい生後2〜3か月です。この時点の大きさから成犬の体高を言い当てる方法は、団体の制度にはありません。

だから「豆柴」として迎えた子が、普通の柴犬の大きさに育つことは珍しくありません。これは騙されたというより、言葉の仕組みとして起こりうることです。大きくなったとしても、その子は健康な柴犬です。ただ、住まいの広さや抱き上げる前提で選んでいたなら、そこは考え直すことになります。

親犬が小さいほど子も小さい傾向はありますが、保証ではありません。「絶対に大きくならない」と言い切る売り方は、団体の仕組みと合っていません。

「豆柴」の名前が確定するのはいつか。生後2〜3か月で迎える時点では柴犬の子犬。生後12か月を過ぎてKCJの審査で体高を実測し、合格してはじめて豆柴になる

迎える前に確かめる4つ

「豆柴」という言葉ではなく、中身を確かめます。

  1. 親犬の体高を、実測の数字で聞く ── 「小さいです」ではなく、cmで。できれば両親とも。KCJの認定犬なら認定証があります
  2. 血統証明書の発行団体と、犬種名の欄を見る ── JKCなら「柴」。KCJで両親が認定豆柴なら、その旨の記載があります
  3. 両親犬のGM1遺伝子検査の結果を見せてもらう ── KCJが登録の必須条件にしている検査です。柴犬で知られる遺伝性の病気で、両親が保因者でないことを確認する意味があります
  4. 「大きくなったらどうなるか」を先に聞く ── 返金や引き取りの話ではなく、その子をそのまま迎える覚悟が自分にあるかを確かめる質問です

どれも、誠実なブリーダーなら嫌がりません。答えが数字や書類で返ってこないなら、そこで立ち止まってください。

迎える前に確かめる4つ。親犬の体高を実測の数字で、血統証明書の団体と犬種名、両親のGM1遺伝子検査、大きくなったらどうするか

暮らしは、柴犬と同じ

体が小さくても、中身は柴犬です。KCJの豆柴の標準でも、性格は「明るくフレンドリー」で「シャイであってはならない」とされていて、柴犬と別の気質が定義されているわけではありません。

だから、暮らしの組み立ては柴犬の飼い方と同じです。要点だけ。

  • 従わせるより取引する。 柴犬は指示に従うこと自体が報酬になる犬ではありません。来たら良いことがある、を積む
  • 触られる練習は、生後16週までがいちばん入る。 爪切り・耳・口。1日10秒、触ってからおやつ。小さいからと省略すると、10年困ります
  • 換毛期は覚悟がいる。 体が小さくてもダブルコートです。年2回、毎日ブラッシングする期間があります
  • 叱って従わせない。 AVSABは罰を用いる手法が恐怖と不安を生むと述べています。独立性の高い犬種では副作用がとくに出やすいです

小さいと「かわいいから」で吠えや飛びつきが流されがちです。体の大きさで、しつけの手を抜かないでください。 吠えが定着する前に静かにを、呼び戻しはおいでを、良いことだけで積みます。

室内のラグの上に座って、こちらを見上げる赤毛の若い柴犬 Photo: Taro the Shiba Inu(CC BY 2.0, Wikimedia Commons)

気をつけたい体のこと

柴犬として知られていることは、そのまま当てはまります。

  • 皮膚 ── 足先をなめ続ける、指のあいだが赤い、耳がにおう。柴犬はアレルギー性の皮膚のかゆみが知られている犬種です
  • 目 ── 目が赤い、白目が濁る、ぶつかる。柴犬では緑内障などが知られていて、進行が早いことがあります
  • GM1ガングリオシドーシス ── 柴犬で知られる遺伝性の病気で、KCJが登録時の検査を必須にしています。両親の検査結果を確認するのが、飼い主にできる予防です

そのうえで、小さく作られた個体についてです。JKCは、犬種標準を大きく下回るサイズの個体は「健全性に欠ける場合がある」と述べています。ただし、豆柴に限って何がどのくらい多いかを示す獣医師会や学術の資料は見つかりませんでした。分かっていないことは分かっていないと書いておきます。 家でできるのは、体の小さい犬に共通の配慮です。滑る床にはマットを、ソファには階段を、首輪ではなくハーネスを。

柴犬に共通の気をつける場所と、小さい体で加わる配慮。皮膚のかゆみ、目の変化、両親の遺伝子検査。加えて滑らない床、段差の階段、ハーネス

実践:迎える前と、最初の3か月

時期やることなぜ
迎える前親犬の体高・血統書・遺伝子検査を確かめる「豆柴」の言葉ではなく中身で選ぶ
迎える前床にマット、段差に階段、ハーネスを用意小さい体の負担を減らす
1〜2週目静かに眠らせる。新しいことは1日1つ睡眠不足は吠えと興奮の直接の原因
2〜4週目足先・耳・口を1日10秒触っておやつ生後16週までがいちばん入る
1か月目マーカーと名前への反応「今のが正解」を伝える手段を作る
2か月目おいでを良いことだけで来たあとに嫌なことをしない
3か月目静かにとあご乗せ吠えが定着する前に。診察を嫌がらない土台
生後12か月KCJの認定を受けるなら審査へ豆柴の名前が確定するのはここ

お迎え直後の全体像は子犬を迎えた最初の1週間にやることにまとめています。

迎える前から生後12か月まで。確かめる、環境を整える、眠らせる、触る練習、マーカー、おいで、静かに、そして1歳の認定審査

うまくいかないとき

思ったより大きくなった ── その子は健康な柴犬です。住まいと抱き上げる前提だけ組み直してください。しつけも暮らしも、何も変わりません。

血統書に「柴」と書いてある ── JKC発行ならそれが正しい表記です。KCJで認定を受けたい場合は、生後1年を過ぎてから審査を申し込めます。

小さいからと甘やかして、吠えが強くなった ── 家族の誰かが応じています。全員で対応をそろえて、静かにを積み直してください。

触ると唸る ── 唸りを叱らないでください。どこを触ると唸るかを記録して、痛みがないか動物病院で確認を。

相談を考える目安

  • 足先をなめ続ける、指のあいだが赤い、耳がにおう
  • 目が赤い、白目が濁る、ぶつかる
  • 歩き方がおかしい、後ろ足を数歩上げる
  • 子犬で、ふらつく、ぐったりする、体重が増えない

これはお手入れやしつけの範囲ではありません。動物病院で相談してください。

最後に

「豆柴」は、犬種ではなく呼び名です。JKCでは柴、KCJでも1歳を過ぎて測ってから。迎える時点で確定させる仕組みは、どこにもありません。

だから、言葉で選ばず中身で選んでください。親犬の体高、血統書、遺伝子検査。それを確かめて迎えた子が、大きくなっても小さいままでも、暮らしの組み立ては変わりません。触られる練習を早く始めて、取引で通じ合う。柴犬と同じ道です。

まず今日、血統証明書の犬種名を見るか、親犬の体高を数字で聞く。それから柴犬の飼い方を読んで、おいでを良いことだけで積み始めてください。

出典